【野外上映作品紹介】「おとぎ話みたい」~少女の遺作が少年の脳天をゆさぶる~

正直この映画のレビューを書くのは気が引けました。

だって山戸監督や彼女を評価する映画批評の界隈の方々が作る空間にこんなおちゃらけたレビューを書く僕がつけ入る隙間がないもの。

しかし、「おとぎ話みたい」を観たあの日あの時の●丸を蹴られたような衝撃、脳内に迸る青春に偽りはないから、この作品と向き合わないと俺の映画祭が始まらない気がするから、こうしてポテトチップス片手に読みたくなるようなゲスい文を書くぜ、おい。

MOOSIC LAB 『おとぎ話みたい』

 

2013|監督・脚本・編集:山戸結希|音楽:おとぎ話|撮影:今井孝博|照明:中西克之|音 響設計:小川武|振付:KaoRi|ヘアメイク:Masayo|スタイリング:スエタカヨーコ(Daredevil)|出演:趣里、岡部尚、おとぎ話、小林郁香、椎名琴音、前田多美|製作:寝具劇団|カラー|55分
彗星のごとく現れ、革命的処女映画「あの娘が海辺で踊ってる」が一躍センセーションを巻き起こしている新世代ファンタジスタ・山戸結希が、ロックバンドの 名手・おとぎ話と、MOOSIC LABの枠におさまらない音楽映画の更新めがけて、青春と光の爆撃を、少女の遺作を、今だけの花火を打ち鳴らす!

 

山戸監督は覇王色の覇気でも持っているんでしょうか?

画像はhttp://www.aiwff.com/2013/guests/yamato-yuuki.htmlから引用

 

僕と山戸監督とのファーストコンタクトは東京学生映画祭で審査員特別賞受賞&ポレポレ東中野での1週間限定上映が異例の爆発的ヒットを記録した「あの娘が海辺で踊っている
その鮮烈な予告編に衝撃を受け、往復十数時間の道のり高速バスを乗り、オーディトリウム渋谷まで作品を観に行きました。

一見ほんわかした天然女子大生に見えましたが、一度口を開ければエッジの利いた言葉がとめどなく放たれる。山戸監督は大学では哲学科に在籍し、哲学研究者になろうと思って勉強していただけあって、身体性、処女性とゆとり文系少年では到底耐えうることの出来ない「言葉」いや「言葉」を超えた「言葉」が飛び交いました。

山戸監督の「あの娘が海辺で踊っている」、今作の「おとぎ話みたい」を観た時、「なんというか圧倒的だな」と呟いたのを覚えています。ドロリッチをゲロリッチしそうになったことを覚えています。ワンピースでいうとこの覇王色の覇気を感じ、泡吹いちゃってる感じです。別に自分は映画を撮っているわけでもないのに…。盛りのついた20代男性では絶対に認識することの出来ないものを認識しているような気がしてなりませんでした。僕の世界なんて所詮醤油鯛に収まってしまう程度のものっすよ。

また、おとぎ話みたいがまとめられたtogetterなんかを観ると、いかに山戸監督の作品が人々の心に色濃く残るものか分かります。静寂な水面にドでかい岩をぶちこんでいるみたい。作品が作り手の元を離れ、自己増殖しているようにも見えます。

 

おとぎ話先輩に一生ついて行きます!

若干ネタばれをすると、今作山戸監督とコラボしたロックバンド「おとぎ話」が劇中に出演します、しかもがっつり笑。楽曲もがっつり使われているぜ。もうおとぎ話ファンは悶絶レベル!!
※ちなみに当映画祭実行委員はおとぎ話ファンが多々存在し、野外上映が決定した時は涙を拭えきれなかったとか…。

ただ、楽曲を聴いて頂ければ分かると思いますがおとぎ話は補完する余地のない完成された世界観を持っています。ある意味映画とのコラボにあんま向いてないバンド。ほら、おとぎ話先輩の曲を聴いてみろよ、一たび聴けば「青春のあの時、または現在進行形の世界」が構築されるぜ。

しかし、今作はその世界観に迎合するわけでもなく、包含するわけでもりません。山戸監督の世界観とおとぎ話の世界観がただただ拮抗し、青春の火花を上げているのです。

ちなみに下記の2曲は映画の中で重要なトリガーとなる2曲!
要チェックやで~~~。

おとぎ話 – COSMOS @ りんご音楽祭2012.秋

おとぎ話 – WHITE SONG(PV)

僕は趣里さんのポニーテールを結ぶシュシュになりたい

http://ameblo.jp/shuri-0921/entry-11595416188.html

劇中では完全なる少女だった趣里さん。
貴女が可憐に右脚を跳ね上げる度に、僕のハートの心拍数も三段階ほど跳ね上がります。
「水谷豊と伊藤蘭の娘、つまり芸能界のサラブレッドや~」とかそんなことどうでもいいわ。
貴女の立ち姿を見る度、同じ空間に存在しないことを激しく悔やみます。

要約:僕は趣里さんのシュシュになりたい。

 

さあ、少女の遺影をぶっ立てろ!!!

画像はhttps://twitter.com/anoko_danceから引用

今作は少女が少女じゃなくなる(少女の死)過程を描いています。いわゆるあれだ、通過儀礼的ムービー。「ローマの休日」しかり「男はつらいよ」しかり「ヒミズ」しかり…。

ただし、単なるの通過儀礼ムービーじゃないです。先述のとおり、おとぎ話先輩の圧倒的な世界観、趣里さんの女優としての強度が作品を頑強なものに仕立てあげます。

そして山戸監督独特な演出、特異なセリフ回し。

元々、哲学畑の方のため、身体性、性に関して哲学性溢れる言葉が超速球で飛び交う。もはや趣里が言葉を発しているというより山戸監督が趣里の身体に憑依しているように見えます。

いわばその様子は恭しく少女の遺影を飾っているのではなく、勢いよくぶっ立てているのです。鮮烈なる少女の<死>に立ち会うことになるでしょう。

 

とまあぐだぐだ語ってきましたが、兎に角野外上映で「おとぎ話みたい」を観ましょう。そして衝撃を受けましょう。多分、うまく言語化できない何かに襲われるかと思います。

上映時間場所はこちらからチェック!
http://kisssh-kissssssh.com/movies/moosic-lab-otogibanashimitai/

ライタープロフィール

Naoto Oshita
Naoto Oshita
自意識がスパークしているしがない会社員です。