Kisssh-Kissssssh映画祭2014レポート 

ご無沙汰しております。
Kisssh-Kissssssh映画祭実行委員会の大下です。

2014年9月20日、21日に行われたKisssh-Kissssssh映画祭ですが皆様のおかげ様で無事に閉幕しました。「レポートを早くあげければ」という使命感はあったんですが、あれよあれよと季節は巡り、世間ではクリスマスへ向け助走をし始めている時期になってしまいました。というわけで今更ながら映画祭の様子を完全に主観なレポートを書いていきます。

 

そもそもKisssh-Kissssssh映画祭とは何か再度確認しておきますと和歌山市の漁師町加太を舞台にした映画祭です。日中は町に点在する空き家・空き施設で、夜は野外で上映を行うという映画祭です。あ、名前は分かりにくいと思うんですが和歌山の紀州と外国の波の音のオノマトペをかけ「きしゅーきしゅー」と読みます。キラキラネームみたいですみません。

 

日中会場 町歩きして、映画鑑賞、そしてまた町歩き

 

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まずは昼間の上映の様子を紹介していきます。
こんな感じの空き家・空き施設が4箇所ありコンペ作品、招待作品など様々な作品を上映しました。場所が点在しており、各会場で上映している作品はバラバラなのでとにかく歩きます。そのため映画鑑賞を楽しみつつ町歩きも楽しめる一粒で二度美味しいつくりになっています。ただ、その分スタッフもヘロヘロになりながら会場を駆けまわる鬼畜仕様に…。

 

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写真の会場は日本で始めてジャージが作られた紡績所でもあった旧ボーイスカウトハウス。昭和初期の工場の名残がありどこかノスタルジックな気持にしてくれます。こちらでは都内で一大ムーブメントを起こしたMOOSICLABからの招待作品を上映している様子。

 

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この会場は前は紀陽銀行の加太支店であった旧紀陽銀行。左奥には映画に出てきそうな銀行の本物の金庫がまだ残っています。田辺弁慶映画祭でグランプリ&市民賞を獲得した『あの娘、早くババアになればいいのに』、シンガポールを拠点とする映画プラットフォーム「Viddsee」による招待作品6作品を上映致しました。写真は頃安監督の『あの娘、早くババアになればいいのに』の上映終了後ティーチーンの様子。

 

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自主制作映画のコンペティションを行い100作品の中から選びぬかれた10作品を上映。どれも気骨溢れる作品ばかりでアドレナリン出っぱなし。コンペティション作品の関してはこちらを御覧ください。

 

映画祭だけど映画だけじゃない!

 

 

音楽×映画のイベント「MOOSICLAB2014」の出演アーティストの挫・人間の下川さんとカネコアヤノさんにお越し頂き、日中はお魚創庫で、夜は野外上映前にライブをして頂きました。個人的にはミラクル連発していたと言わざるを得ません。偶然旅行中だったハッチハッチェルオーケストラのータさんと杉尾さんを巻き込み、即席バンドが結成され4人で演奏されたり、下川さんのライブ中照明機材に不具合生じたにもかかわらずとんでもない機転で切り替えしたり、「映画だけじゃねえ、音楽、ロックすげえ」と思わず心のなかで呟きました。あと野外上映作品である『おばけ』主演の佐藤玲さんもライブに参加されました。その姿が空前絶後の可愛さで多幸感に包まれ映画祭どころじゃありませんでしたよ!!

 

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また、おさかな創庫で野外上映作品『サッドティー』の今泉監督、元築栄支配人の山本さんによるトークイベントや加太の住民の方による地元文化プレゼンコーナー、中学生監督岳丸くんによる『スパークエイト』の上映&トークなどあり盛りだくさん。あと、何よりも加太住民の方が振る舞う屋台メシ(鯛バーガー、鯛ラーメン)が何よりもうまい!

 

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その他にも映画祭の連動企画として北の浜の方でTシャツ写真展が開催されました。青空の下たなびくTシャツを見て皆爽やかな気持に。

 

加太でしか味わえない映画的体験。これは唯一無二の煌きだ!!

 

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日が海に溶け、空が淡紅色に染まるとと次第と野外上映の特設会場に集まってきます。ここでの上映作品のコンセプトは一言でいうと「海辺で観たくなる映画」です。それは哀愁を感じ、センチメンタルな気持ちになったり、どうしょうもない恋愛物語であったり、抗えない不条理を描いている作品など様々です。具体的には一日目はフランス映画界の新星ギヨーム・ブラック監督の『女っ気なし』(併映:『遭難者』)、ダメな男女の恋愛を描いたら右に出る者がいない今泉監督の『サッドティー』を上映。また、二日目は男女の繊細な気持ちを描く坂本監督の『おばけ』、じじ神保町の連動企画で決定したエマヌエーレ・クリアレーゼ監督の『海と大陸』を上映しました。

 

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二日目には自主制作映画コンペティション部門のグランプリの発表を行いました。100作品の中から選ばれたグランプリ作品は井上勇人監督の『よっちゃん、逃げちゃ嫌!』です。幽霊のエポックメイキングな描写と不思議な空気感と独自のテンポ感がたまらない作品でした。今後のご活躍を切に願います。

 

 

 

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去年も感じたんですがこの加太での野外上映はただの上映会を越え、唯一の映画的体験に昇華されているんです。加太の潮風香る中、満点の星空の下、人々の熱気が交わる中観る映画はこの日この場所でしか味わえない映画体験に他なりません。かつて映画が娯楽の王様だった頃、一本の映画が上映されることは一種のお祭りだったと思います。そんな映画にあった祝祭性が蘇ったんです。『女っ気なし』の気まずい海水浴シーンも、『サッドティー』の海辺で繰り出される大団円的なラストもとても他人事とは思えません。映画と空間が溶け合い、不思議と心地良い感覚にとらわれました。そんな一生心を照らし続ける煌きがここには確かにあったんです。

 

 

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Kisssh-Kissssssh映画祭2014終了後、加太の粋な民宿でささやかながら打ち上げを行いました。連日の準備の疲れとアルコールが重なり記憶が朧げですが監督、出演者の方々の半端ない熱量で映画に対して熱く語られていたことははっきり覚えています。あと、極めて個人的な事ですが現在大学4回生で、映画関係の会社から内定を頂きました。そこでいつかここで出会った監督や関係者の皆様と仕事するんだと霞む意識の中で確かに決意しました。

 

というような所で映画祭は無事に閉幕することが出来ました。Kisssh-Kissssssh映画祭の中で目を閉じて何度も反芻したくなる瞬間を数多く経験することが出来ました。ルサンチマンの塊、卑屈野郎の僕でも、こういう瞬間を味わっていれば、一生駆け抜けて行けます。そして、運営メンバーの皆様、ボランティアの皆様、加太の皆様、監督・出演者の皆様、配給関係の皆様、上映技師の皆様、その他協力協賛して頂いた皆様、筆舌し難いぐらい感謝しています。本当にありがとうございました。

 

 今後のこと

さて、来年度ですがKisssh-Kissssssh映画祭2015を懲りずに開催する予定です!
つきましては、Kisssh-Kissssssh映画祭2015の運営に携わってくださる新メンバーを募集します。
興味のある方は名前、職業、連絡先、映画祭でやりたいことを記入し下記の連絡先までご連絡ください。

Kisssh-Kissssssh映画祭実行委員会
Mail:info@kisssh-kissssssh.com

ライタープロフィール

Naoto Oshita
Naoto Oshita
自意識がスパークしているしがない会社員です。