橋本愛主演『ワンダフルワールドエンド』を今観るべきたった1つの理由と2つのさよなら

 

どうも、ご無沙汰しております。
Kisssh-Kissssssh映画祭実行委員会の大下です。

Kisssh-Kissssssh映画祭2015プレイベントまであと僅か!
一方で上映作品の「ワンダフルワールドエンドって何?」って方が結構多いので、『ワンダフルワールドエンド』とは何ぞや、今作を観るべきたった1つの理由、2つのさよならを説明致します!

 

そもそも『ワンダフルワールドエンド』って?

 

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あらすじ

モデルとして活動するも、なかなか売れない17歳の詩織(橋本愛)。詩織の追っかけのファンである13歳の亜弓(蒼波純)。可愛くも過酷な世界に放り出された2人の女の子の物語を大森靖子の歌声が強く、激しく背中を押す。

解説

元々は激情派ガーリーのシンガーソングライター・大森靖子の「ミッドナイト清純異性交遊」「君と映画」などのMVでした。それらが新曲と新たな撮り下ろしパートがミックスされ劇場映画化。

主演は『桐島、部活やめるってよ』『寄生獣』などの人気女優・橋本愛と「ミスiD2014」グランプリに輝いた新人女優・蒼波純。また、現在『仮面ライダードライブ』で仮面ライダーマッハ(詩島剛)を演じる稲葉友らが出演しています。

劇団ゴジゲン主宰であり、『スイートプールサイド』『自分の事ばかりで情けなくなるよ』の松居大悟監督が、本作でも2本のミュージックビデオと映画を同時進行で制作。
喩えるなら『ワンダフルワールドエンド』は

「獲れたての海産物をその場で調理した海鮮丼」

松居監督、大森靖子、橋本愛、蒼波純、稲葉友等今まさしく「旬」の人達が作りあげる現代のポートレートのような作品です。
 

『ワンダフルワールドエンド』を今観るべきたった1つの理由

 

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今観るべき理由は、一言でいえば

2015年の少女たちの自意識の今この瞬間を捉えた映画

なのでリアルタイムで観た方が絶対良い!

橋本愛、蒼波純二人は現在の等身大の少女たちを演じています。
特にポイントとなるのは劇中でも度々登場するtwitter、blog、ツイキャスなどのSNS。個人的には今作のSNS描写のリアリティは邦画の中で最高峰だと思っています。

主人公の詩織(橋本愛)は簡単に承認欲求が満たされる“一億総表現者時代”に自意識をこじらせる典型的な存在。ツイキャスで“素”らしき姿を見せ、ちょっといやらしいことに反応する度、閲覧数が増え、コメントをもらったりする度有名人になった気分に。blogにコメントがつくたび特別な存在であると実感。

そうやって小さな承認欲求を満たし続けると、自意識ばかりが肥大化して、実像(実際の自分)は追いつかなくなる。何者かであるはずだという自分と、現実の取るに足らないしょうもない自分が堂々巡り。

でも、亜弓(蒼波純)みたいに何もでもない自分を好きになってくれる自分がいるから辞められない。そんな自己顕示欲の強い現代の女の子たち特有の「自意識の蟻地獄」が的確過ぎて笑えません。

さらに発達し過ぎた感受性を持つ大森靖子の音楽によって今この瞬間の女の子の面倒臭さをより際立たせます。

 そんな自意識をこじらせた自意識ゾンビが大量に電脳世界を徘徊する今だからこそこの映画を観て自分自身を冷静な視点から見つめ直すべきではありませんか?

 

男たちの世界にさよなら

 

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ここから今作にまつわる“2つのさよなら”を説明していきます。
まずは男の世界にさよなら。

これは男という存在が徹底的に忘れ去られるという事です。

2015年度最も男の扱いが酷かった映画ランキングベスト3には絶対ランクインすると確信しています。

これは最近の映画のトレンドじゃないですか。例えば『ゴーンガール』『毛皮のヴィーナス』など。TBSラジオのウィークエンドシャッフルでお馴染みのライムスター宇多丸師匠の言葉を借りれば「男ざまあモノ」。上記2作は女に都合の良い幻想を押し付ける男たちが逆襲されるという構造でしたが今作はそんな対立構造さえありません。完全なる忘却です。無視です無視

言い換えれば、女の子たちが男の子たちと違う次元に行く瞬間があるんです。ラストシーンにそれが来るのですが『インターステラー』『2001年宇宙の旅』や『かぐや姫の物語』のラストを観ているような気分に。

 

ちなみにさよならされる男子は、詩織の彼氏でありいけ好かない演劇サブカル男の川島(稲葉友)です。

これがよりにもよって稲葉友だから男子側への破壊力が倍増します。なんたって現在放映中の『仮面ライダードライブ』の仮面ライダーマッハ役(詩島剛)ですからね!一応、日曜朝の子供たちのヒーローですよ。にもかかわらず、アレされてアレになるので「男の世界にさよなら」の衝撃度が増します。

 

陳腐な恋愛映画にさようなら

 

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前半は「三角関係?」と思わせるような異性恋愛がありますが、後半に行くにつれて異性恋愛要素が排除されていきます。亜弓は「好きな人の好きなものは全部好き」精神で、詩織の着ている服、持っている物そしてアレまでマネしていきます。そうして最後には、詩織と亜弓の世界が構築されていくわけですがかと言って「百合だ!百合!」って手放しで言えるわけではありません。

「恋」とか「愛」とか「友情」とか世間のラベルでは捉えきれない感情

がここにはあるんです。先ほどインターステラー並に男たちの次元を超える瞬間があると言いましたがその瞬間同時に陳腐な恋愛映画の次元さえ超越します。そこはもはや現実、虚構の境目さえ曖昧に。
 

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http://www.asahi.com/articles/DA3S11201125.htmlから引用

松居監督はそういった名前のつかない感情を描く名手です。特に前作『スイートプールサイド』では、毛が生えない男子と毛深い女子の秘密の関係を描いていましたが、そこでの二人の感情は恋愛でも相互依存ともいえぬものでした。また、『スイートプールサイド』では名前のつかぬ感情をこじらせて女の子の剃った毛を食べるというマジキチシーンがありましたが、『ワンダフルワールドエンド』でもそれに似たような構造のゾッとするシーンがあります。

 

 終わりに

まとめると、旬な俳優、監督、アーティストによって作られ、現代の女の子の自意識をガンガンに突いてきます。
あと、男たちの次元、陳腐な恋愛映画の次元を超えるという2つのさよならがあります。それがたまらなく心地良い!

このようにセンセーショナルさ作品なので是非ともリアルタイムに劇場でご覧ください!
前売り券はこちらから!

 

作品情報

ワンダフルワールドエンド
2014年│日本│製作:avex music creative│配給:SPOTTED PRODUCTIONS│82分
[c]2014 avex music creative inc.

監督・脚本/松居大悟
出演/橋本愛 蒼波純 稲葉友 利重剛 町田マリー 大森靖子

公式サイト  http://ww-end.com/

 

ライタープロフィール

Naoto Oshita
Naoto Oshita
自意識がスパークしているしがない会社員です。