きしゅ〜きしゅ〜的きまぐれ映画放談 7/2 『きみはいい子』

『きみはいい子』を観てきたのでまた感想文です。ちなみに呉美保監督の前作『そこのみにて光輝く』は去年のマイベストでした。否が応でも上がる期待値を「前作超えはないだろ…」と抑えつつ劇場に向かった結果…。(ネタバレなしです)

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いきなり個人的なことで申し訳ないのですが、恥ずかしながら、いい歳した男が訳わからないぐらい号泣してしまいました。終わった後も席から立てず、劇場を出てもしばらく泣き続けててなんじゃこりゃっていう。私決して涙脆い方ではないのですが。ある人物がある児童の存在を当たり前のように肯定する当たり前のようなシーン、他の映画ならなんてことないシーンなのだと思いますが、ここでやられました。派手な演出や演技、シチュエーションではないのにどうしてここまで感動したのか、自分でも掴みかねています。

 

それ以降はもう涙が止まるシーンがなかったですね!呉美保監督は鬼!

 

「(ざっくり)愛」「暴力を振るう者の目線」といったテーマややろうとしていることは同監督の前作から引き継がれている部分が大きいような気がしますが、異なるのはしっかり解決策、そしてその先の希望を見せてくれているところかなと(『そこのみにて~』もラストに希望がないわけではないんですが)。まあ、頭で考えれば解決策と言うにはあまりに甘過ぎるかもしれません。

 

それは言ってみれば綺麗事かもしれないんですけど。でも僕は綺麗事を信じられる、信じたくなるところに映画に限らずフィクションの醍醐味があると思うので、その点で言っても本当に素晴らしい作品。 また、「愛」なんて口にすれば胡散臭い言葉をあらん限りの演出と演技でまさしく体現している稀有で映画的な一本だと思います。普遍的なテーマだからこそ多くの人に見て欲しい。

 

そこで大きな役割を担っているのは『そこにみにて~』から続投の池脇千鶴さんと高橋和也さん。そして喜多道枝さん。特に池脇さんは途中まで遠目のショットが多かったのもあって全く気付きませんでした。高橋和也さんもあの土建屋の社長と同じ人に見えない…。(7/9追記:すみません、私富田靖子さんと喜多道枝さんを勘違いしておりました。言いたかったのは喜多さんだったので訂正しました。勿論富田靖子さんも素晴らしかったですよ。)

 

僕は今まさに子どもと大人の過渡期的な年齢にあります。だからこそ余計に、一切の台詞のないラストシーンから監督の「お前はこれからどうする?」という強いメッセージを感じました。人生をかけた宿題を出された感じですね笑 今劇場でこの作品を観られたことは今後の人生において大きいとはっきり思います。呉美保監督のフィルモグラフィーを追いかけながら答え合わせしていこうかなと思います。

 

あ、過渡期と言えば、僕の小学校時代は既に男子もさん付けで呼ばれていました。皆さんの頃はどうだったでしょうか。この風習を映画で知って驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。そういうところ含め、小学校の教室内の空気感のリアルさは『桐島、部活やめるってよ』の小学校版と言っても良いレベルでしょう。授業中にトイレに行きたいのくだりとかも「自分もやったなあ…」と懐かしさで死にそうになりました。

 

上半期どころか年間ベストは『フォックスキャッチャー』で決まりだと思っていたんだけどなあ…。愛を知る全人類に捧ぐ映画がもうすぐ公開ですが、この映画を観れば愛を知れること請け合いなので、予習としてこちらを先に観ておきましょう(?)。本当におすすめしたいです。

ライタープロフィール

iwamoto
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都内在住大学生。東京生まれ東京育ちだけど、和歌山生まれの人たちの熱気に負けないように頑張りたい。