きしゅ〜きしゅ〜的きまぐれ映画放談 担当I的上半期新作ベスト10【後編】

どうも担当Iです。前編に引き続き上半期新作映画ベストを勝手に振り返っていきますよ~。こういうランキング付ける時って、まず真っ先に頭に浮かんでくきた作品で上から埋めてくんですが、5位まではまさにその枠。これらを脅かす作品が下半期にどんどん出てくることを期待してます!思い入れある作品ばかりなので長いです!すみません!

 

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第5位 『セッション』

「持ってるヤツに持ってないヤツがたまには勝つと思ってたいヤツ」 ライムスターの「ザ・グレート・アマチュアリズム」の歌詞から引用です。

そういう人にとってはこれ以上ないカタルシスをもたらす作品なのではないでしょうか。僕ももちろんその1人。いや、持ってないと言っても話の舞台がアメリカ最高の音楽学校の最高のバンドですから、上の上の下ぐらいのものなのでしょうが…笑

やっぱりあのラストが好きです。音楽の楽しさを奪われ、音楽以外のものを全て捨てざるを得なくなり、最後には音楽すら失くしてしまった主人公。それでも「オレをナメるなよ」と尚襲い来る奴に「音」で対抗し、最後には奪われた「音楽」を取り戻す。僕はこの映画を「奪われたものを取り戻す」映画として素晴らしいと思います。単純に燃えました。心震えました。

あと、ラストに関して僕が膝を打ったのは「主従関係が逆転している」という友人の指摘。なるほど主人公が先にアクションを起こしたあの時点で勝負はついており、その後の一連のカットの連なりで上述の奪還の流れを達成したのかと勝手に納得。ネタバレしたくないので分かりづらいですね笑 ごめんなさい。

主人公もフレッチャーもバックボーンがほぼほぼ描かれず肩入れしづらいのですが、最早違う世界の神々の戦いとして眺めているだけで楽しかったので、やはりあまり気になりません。こんなに口あんぐりで観続けた映画は初めてでした。ファスタァァァァァ!!!!

 

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第4位  『最後まで行く』

東京のシネマカリテさんのカリコレという催しで鑑賞した韓国映画。フォロワーさん数人が絶賛していたので行ってみるとこれがまーー面白い。日本で有名な役者は全然出てないようですが、普通にもっと拡大公開して頂きたい。『息もできない』で気のいい親友兼社長を演じてた役者さんがまた同じような役で出演してて笑ってしまいました。

ズブズブの汚職警官の汚職がバレそうになり、あろうことか母親の葬式を抜け出し証拠隠滅のため署へ車を飛ばしているとあろうことかその道中人をはね、あろうことかまたその死体を処理するために奔走するという話。もうプロットで面白いもん。その上このタイトルっていうのが笑えるけど素晴らしい。因みに洋題が『A Hard Day』ですから、頭に残る良い邦題だと思います。下衆なのに開き直っててかっこいい。

個人的には、バイト中にしたミスを店長に隠して処理しようとしたけど結局問い詰められたので白状して怒られた経験とかもあったりして、なんか本当身につまされる話でした。焦りや困りを顔全面に表出させながら四苦八苦する主人公を見ながら、「悪いことやミスをしたらすぐ謝ろう・・・」と改めて思いました。

ただタイトルの通り主人公は「最後まで行く」ので、ラストを見ると「いや、でも、やり抜けば良いこともあるんじゃ・・・」と、その場でした決意を即座に揺らがせてくる辺り憎たらしい。いっぱしのエンターテイメント作品のくせにそういう生き方の問題まで考えさせてくるのがすごいなと。しかも笑えるシーンもかなり多いんですよね。このポスターかっこつけすぎだろと思うぐらいです笑

過度なバイオレンスシーンもないので非常に観やすい。つい先日ソフト化されたので、公開規模も小さかっただけに是非多くの人に観て頂きたい作品です!

 

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第3位  『海街diary』

個別のエントリーで僕が思ったことはあらかた出し切ってしまったので、詳しくはそちらを参照して頂ければ幸いです。

実はこの作品で僕が好きなシーンは、加瀬亮が長澤まさみに電車の中で自分語りするシーンだったりします。そこがまさに僕が個別のエントリーで指摘したことに当たるんけど、あの哀愁というか、あの感じは加瀬亮さんならではなんじゃないかなと。前田旺志郎君も良かったですね~。彼の最後のすずとのやり取りとかたまらんですよ。あそこでテーマに関わるようなセリフは外してくるところが流石是枝監督ですよ。

4人でワイキャイしてるシーンは一生観ていたいんですが、僕は一人っ子なので若干している節もあったりして、あの辺は素直に好きと言いたくない気持ちもあります笑

 

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第2位 『きみはいい子』

同監督の前作であり昨年マイベストの『そこのみにて光輝く』で上がったハードルを軽々飛び越えていく呉美保監督はそのまま世界に飛び出していってしまいそう。

1位と迷ったのですが、まあとりあえず2位です。もう本当どっちが1位でもいいし年末には逆転してる可能性が大いにある。こちらも個別の記事を是非ご一読下さい。

 

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第1位 『フォックスキャッチャー』

「大財閥の御曹司はなぜ五輪金メダリストを射殺したのか?」というミステリー押し(?)なキャッチコピーが気になり鑑賞したら、これがまあ傑作で、全然期待してなかった分人生ベスト級の1本に。もう冒頭のチャニング・テイタム演じる栄光なき金メダリストの日常を淡々と描くシークエンスで傑作感ビンビンだったのですが、観終わったあと「あの感じは間違ってなかった!」と嬉しくなってしまいました。

一般的に見れば所謂勝ち組で、僕らとは全く異なる世界に生きる人である大財閥の御曹司や五輪金メダリストの抱える葛藤や嫉妬、苦悩、承認欲求を最小限のセリフで映画的に描き出し、僕のような一般人でも「この人たちも自分と同じような悩みを抱えていたんだ」と心から感情移入。

そういうありふれた負の情動の積み重ねが人を罪を犯したり、他人を肉体的に傷付けるところまで追いやってしまうのだと。この作品から鑑みるに僕はそういう過程を丁寧に描いた作品が大好きです。一昨年の『クロニクル』だったり、昨年の『そこのみにて光輝く』だったり。理解できないように見える他者の中の普遍的な部分を描き出す優しさに溢れた作品と言っても良い。他人事として放っておかない誠実さを感じるというか。すみません、少し話が逸れましたね。

マーク・ラファロは『アベンジャーズ』や『はじまりのうた』と同じ人に全く見えないし、チャニング・テイタムの大きな身体に似合わない伏し目がちで精神的に危うそうな佇まい、スティーブ・カレルの様々な負の感情を湛えた無表情など、主要キャスト3人の三つ巴の演技合戦も最高。見た目を作る上でメイクも良い仕事してます。

かなり人を作品な選ぶ気がするので 積極的にオススメはしませんが、是非観て頂きたい(どっちだ)。刺さる人には死ぬ程刺さります。ちなみに東京にお住まいの方は18日(土)から早稲田松竹で『アメリカン・スナイパー』と2本立てがあるそうです。この2本、(早稲田松竹さんは思いっきり言っちゃってますけど)並べて見るとまた一つのキーワードが浮かんできたりして。それは僕が抱いたことのない感情だったので大変興味深いものでした。

長くなってしまいましたが、ここまで読んで頂いた方、いらしたら本当にありがとうございます!!

 

〈画像元〉

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ライタープロフィール

iwamoto
I
都内在住大学生。東京生まれ東京育ちだけど、和歌山生まれの人たちの熱気に負けないように頑張りたい。