3つのSにまつわるエトセトラの最後のSは「sports(スポーツ)」!
今年和歌山では国体があるということで、勝手にあやかりました。
また、コンペ自体にも競技性があると捉え、
今年から自主制作映画コンペティションの短編部門、長編部門の優勝作品をそれぞれ上映!
身体と身体がぶつかり合い、汗が飛び散る…魂ほとばしる瞬間を刮目せよ!
自主制作映画コンペティション最優秀賞作品
加太の町中会場で上映されているKisssh-Kissssssh映画祭2015自主制作映画コンペティションですが、短編部門、長編部門のグランプリ作品を最終日(9/22)に野外スクリーンで上映!!観客の皆様の投票によって上映映画が決定するので、自主制作映画の上映会場にも是非ともお越しください。燦々と輝くインディペンデント映画の一番星は誰の手に!?
また、今回コンペ部門にノミネート作品は下記の通りです。
●長編
『APOLO』(監督:近藤啓介)
『帰ろうYO!』(監督:松本卓也)
『ガラスの園で月を食らう』(監督:相馬寿樹)
『始まりの鐘をならせ』(監督:川島直人)
『みなと、かこ、げんざい』(監督:長棟航平)
●短編部門
『彼女がドレスを脱ぐ理由』(監督:谷口雄一郎)
『空っぽの渦』(監督:湯浅典子)
『ゴムボーイゴムガール』(監督:東野敦)
『NINJA vs YAKUZA』(監督:市田俊介)
『水の足跡』(監督:金子雅和)
百円の恋
監督: 武正晴
出演:安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平
主題歌:クリープハイプ
2014年/日本/113分/配給:SPOTTED PRODUCTIONS
〈あらすじ・解説〉
呆れるほど、痛かった…。不器用でどん底の生活を送っていた32歳の女が、中年ボクサーと出会い、ボクシングを通して変化していく姿を描く。主演安藤サクラの凄まじい肉体の変化とほとばしる演技に息を呑む。さらには、共演には新井浩文ら実力派俳優陣やクリープハイプの書き下ろしによる主題歌も。とにかく「痛い!凄い!熱い!」魂の一本。
〈スタッフコメント〉
冒頭、甥っ子とゲームをする一子の後ろ姿にはおぞましさすら感じた。人間の尊厳のようなものが一切感じられない、無気力な背中。そんな女が、男との出会いをきっかけにボクシングに希望を見出していく。結果、体の組織が全て入れ替わったかのような変貌を遂げる。変わりすぎていて、ともすれば「有り得ない」と言われかねないレベルなのだが、そこは脇を固める俳優陣の演技やロケーション、生活感演出がしっかり現実感をつなぎ止めている。私が特に感心したのは、トレーナー役の松浦慎一郎氏の実在感。一子が成長する過程に必ず彼がいるので、「あ、このトレーナーなら上手くなるわ」と思わせられる。それもそうで、彼はプロのボクシングトレーナーだそうだ。納得。冒頭、空気のような存在感を見せる父役の伊藤洋三郎氏が一子の成長を初めて認めるシーンは感動的ながらもどこか切ない。戦わずに老齢を迎えた男の末路が寂しい。
百円って気分次第で手に入れたり、手放したりしてしまう程度の価値なんだけど、百円は百円でもキラキラ光ってて、財布にあったら嬉しくなって、手放したくないようなのがたまにある。例え価値が変わらなくても、それぞれ輝くことができる。言葉にすれば陳腐なのだけど、そういうことを全力の身体性で、まさしく身を持って体現してくれた安藤サクラさんに拍手を送りたい。