昨日、スタッフ、地元加太の方交えて打ち上げを行いました。
新鮮な魚介類に、美味しい酒、至福の時と言ったところです。
打ち上げを行うと改めて「終わった」ということを実感させられます。
あの奇跡の上映から2週間近く経ってもその熱量は僕の中でまだ残っています…。
2013.9.21 Sat.~2013.9.22 Sun.NIGHT
「おとぎ話みたいだね…。」
辺りは次第に薄暗くなり、煌々と輝いていた太陽も落ちていき、橙色が淡い桃色と変わっていきます。
スタッフ、お客さんも吸い寄せられるようにくじら公園に集まり始めました。
また、加太の方々によってサザエ、オク貝など新鮮な魚介類が振舞われました。
その他にもビールやチョリソーなどがあり、野外で映画を観るには最高のフードコーナーと言って過言ではありません。
2日目の野外上映の前には山田エリザベス良子さん、おとぎ話の有馬さんによる弾き語りの演奏も…。潮風薫るくじら公園でのお二人の歌声は、矮小なiPodで聴くのとは全く異なり、あの日あの場所で確かに鳴り響いていました。
夜の闇がくじら公園と覆い尽くした頃、ついに映画の上映を開始しました。
※上映作品はこちらからご覧ください。http://kisssh-kissssssh.com/program/
僕らの想いが形なった時です。
もうなんというか圧倒的で、絶対的で、スタッフであるにも関わらず暫くスクリーンに釘付けになってしまいました。これまで色んな映画館で、いろんな映画を観てきましたがここまで心震えた瞬間は他にありません。
1日目の上映中「ダンスナンバー 時をかける少女」の主題歌「時を踊る少女」の「時間も距離も越えぜんぶ~」というフレーズが脳内で鳴り響きました。うまく言語化できませんが既存の時間軸や空間の軸を飛び越えた「異空間」が確かに存在しました。
よくよく考えてみると、映画を観ることって一種の「ハレの日」でしたよね。ドライブシアターしかり、ニューシネマパラダイスしかり…。しかし、PCやスマートフォンなど情報端末が飛躍的に進み、映画はコンテンツの一つとなり、今やいつでもどこでも映画を楽しめるご時世となり、映画を観ることに祝祭的な意味は喪失してしまったと僕は思っています。
それに対してこのKisssh-Kissssssh映画祭は「映画を観る」ことに内在する「ハレの日」の意味をもう一回掘り起こすことが出来たと自負しています。特に2日目の「おとぎ話みたい」の上映の時強くそう感じました。趣里さん演じる主人公しほの感情が高ぶる度に、示し合わせたように風が吹き、スクリーンは波打ち、劇中で、おとぎ話先輩が「ここでも響くんだよ」と言った瞬間、加太の夜空に飛行機が横切る…。全てが呼応し合い、共鳴する、有機的な空間でした。もはや生き物です、生き物。そこらのシネコンじゃ絶対再現できねーよ!!!
複製不可能、唯一無二の「ハレの日」が確かにそこにあったはずです。
あと当日「おとぎ話みたい」の山戸結希監督がサプライズ(いや本当に来るとは思わなかった)で来て頂きました。
こちらのレビューで書いているように僕にとって山戸監督は神格化されていているんですよね。同じ次元、同じ空間で呼吸を出来ていることにでさえ感動を覚えます。その上、「こんな爆音でやってもらってほんと嬉しいです」と滅茶苦茶褒めて頂き、滅茶苦茶恐縮だし、嬉しいことこの上ないです。終いには山戸監督感極まって目に涙を浮かべてらっしゃって、ほんと映画祭やって良かったなあと心の奥底から思いました。
大下さん、2月和歌山から、面白いかもわからないのに、はるばるa渋谷まで作品を観に来て下さり、Q&Aに挙手して下さり、ド級びっくり嬉しかったです。新宿K’sシネマも。レビューも東京の宣伝そのままじゃなく、自分の言葉と文脈で書いて下さり…!http://t.co/K0y0e3NmVc
— 山戸結希 10/10西島大介さんトーク (@YMtoUK) September 21, 2013
和歌山、もう室内上映は封印して野外上映だけに!って言い出しかねないくらい、海と山のあいだの爆音のうた、ほんとうに胸いっぱいで、スタッフさんやお客さんの地熱に今にも映画が星空に溶けてゆきそう、海も映画を観ていると思うような潮風でした、様々の地方から、本当にありがとうございました!
— 山戸結希 10/10西島大介さんトーク (@YMtoUK) September 23, 2013
感動しまくり、アドレナリン放出しまくりで何しゃべっていたかよく覚えてませんが、地方と都会のカルチャーの格差の話は記憶にあります。頭に刻みこまれています。
―「私の作品は地方に対して手厳しい意見を言っているように見えるけど、地方をdisりをしたい訳ではないです。地方は東京の猿マネをするのではなく、地方でしかできないことを押していけばいいと思っています。その意味で、この加太という町全体を使ったり、野外での上映はまさしく地方でしか出来ないことだと思います。」―
えー今から大学生のくせに生意気なこと言います。まさしく山戸監督のおっしゃる通りで、和歌山みたいな地方は都会のただマネ事してもダメなんですよね。イベントも政策も中央に倣え右しても超絶劣化版の東京が大量生産されるだけです。にも関わらず、実際は東京の模造品でいいやみたいな風潮がありますからね。そういう予定調和をぶっ壊すというのが個人的な目標としてありました。そして、今回その目標は達成できたと思っています。それも「映画祭」という各地方で使い古されている手法で、予定調和という壁を見事にデストロイしました。空き家での上映や野外上映はまさしくそのアンサーであり、またアンチ地方の山戸監督の作品をザ・地方であるここ加太上映することは自身と向き合うきっかけにもなったと思います。もう一回、山戸監督の言葉を借りれば「磁力」が必要なんです。中央への流出を食い止めるといよりは、惹きつけてやまない「磁力」を帯びる必要があるんです。
さらっと書くはずがまたしても長くなってしまいました…。
でも、本当に心に刺さる2日間だったんです。(なんか本当使いまくってる気がしますが)
今までヒッチハイクで日本一周とかわらしべ長者で紀伊半島周ったりといろいろやってきましたがこれほど熱量を感じ、心震えたことは他にないです。
もう、ここが人生の到達点かと思うぐらいです。人生の「きらめき」そのものでした。
最後に実行委員のスタッフの皆さん、加太の皆さま、コンペに応募してくださった監督の皆さま、直井さん、山戸監督、おとぎ話さんなどMOOSIC関係の皆さま、協力して頂き誠にありがとうございました。もう頭下げても下げきれないぐらい感謝しています。
来年、2014年も懲りずにやります。全く同じことは行いません。破壊と再構築を繰り返していきます。どうか皆さま宜しくお願い致します。
P.S.
写真は代表に撮ってもらったおとぎ話の有馬さんと風間さんと僕(大下)が写ったもの。
ピンボケだけど好きです。今年イチの写真だと思っています。不安定、未確定な未来を暗示しているかんじが好きです。有馬さんが歌って頂いた新曲「ロックンロール」のあるフレーズが頭に浮かびます。
「かかってこいよ、未来。」