きしゅ〜きしゅ〜的きまぐれ映画放談 6/20 『海街diary』

是枝監督(に限らず映画全般…)弱者ですが、先駆者のOさんに便乗して映画に関する駄文をば。本当ただの感想ですよ。ネタバレとかはないです。
(7/13追記 このエントリーを適当に加筆修正して送ったらライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル内週刊映画時評ムービーウォッチメンで褒めメール代表として読んでもらえました。やったー!)
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個人的には、鑑賞直後のテンションが高くなってるわけではないけど、時が経つにつれ段々温まってきて、最終的に年の暮れの振り返りにはまず名前が挙がるようなタイプの作品となるであろう一本。

一緒に観た友人曰く「一生観ていたい」。全く同意見です。「男2人で観るもんじゃないだろう」と思いつつ足を運んだのですが、もうどうしても触れないわけにはいかないので言っちゃいますけど、男だけだからこそ盛り上がれる要素(主演4人、特に長澤まさみさんの豊満なアレ)が満載ですよ!!キャスティングはこれ意図的ですよね!?今年のアレ映画は『さよなら歌舞伎町』で決まりかと思っていましたが、対抗馬が現れましたね!!!!!

すいません、いきなり最低な方向に話が逸れました。一生見てたいってのはそういう意味ではないです。いや、そういう意味でもあります。 いくら是枝監督とはいえ「漫画原作」「売れっ子4人」といかにもメジャー映画的な布陣で、周りもやたら盛り上がってて、僕自身テンションはむしろ低かったのですが…こんな偏見吹っ飛んじゃいますね。特に、もう漫画原作映画ってだけで毛嫌いするのは本当やめようと。

メタ的な見方をすれば、売れてからしばらく時間が経った実力派の3人を三姉妹に据え、そこに新星の広瀬すずをぶつけるというキャスティングが「腹違いの妹」という微妙な関係を描くのに一役買っているように思います。こういう風にリアルタイムで映画館で観る意義も担保されてるのも素晴らしいですね。

そしてなんと言ってもロケーション。鎌倉という土地的資源を最大限利用しているとしか思えない美しい風景の数々に目が釘付け。キャストも合わせて、視覚的な充足感も味わえます。

脚本で感心したのは、「本筋とは関係ないシーンで脇役の台詞にそれとなく作品のテーマを入れ込む」という作り。去年の吉田大八監督『紙の月』でもありましたが、こういうさりげないポイントが後から効いてくるんですよね。言うまでもなく小道具や仕草でキャラクターを描くという映画において基本的な要素は抜かりない上でですよ。

Twitterでも言ったのですが、「家」とはいつでも帰れる自分の居場所であり、「家族」とは単なる血縁関係でなく、そういう場所を共有し合う共同体なのだと感じました。そこに血の繋がりは関係ないという、(監督本人も言ってますが)小津安二郎的なテーマですね。

そのテーマを現代的にわかりやすくリファインし、且つスターキャスト4人による商業性も両立させた優れた作品だ…というのが僕の平板な感想です。平たく言うと誰が見ても良いだろうってことです。おすすめです。長くなってすみません…。

ライタープロフィール

iwamoto
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都内在住大学生。東京生まれ東京育ちだけど、和歌山生まれの人たちの熱気に負けないように頑張りたい。