これが加太です。~路地編~ 

 

「加太の街はまるで迷路みたい」

 

 

 

加太の方と一緒に街を散策している時ふとそう思いました。
この日は地元の方と打合せしたあと、使用できるかもしれない空き家をいくつか紹介して頂きました。やはり空き家は街の至るのところにあるので、しばらく街歩きを行ったわけです。
数回来ているとはいえおそらくこの地元の人とはぐれたら僕は迷子になるでしょう。

実際、僕は加太で少し前に開催されたトコトコ市というイベントに彼女と行ったとき、会場の場所が分からず迷い、そのあげく僕は全く違う方向へ進んでしまった事件はまだ記憶に新しいところです。彼女に呆れられたのは言うまでもありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

一応、観光マップを持っているのだがいまいち道がわかりません。
僕の土地勘が鈍いんじゃないか疑惑がありますが、おそらくあらゆる所に路地があるからでしょう。分岐点につぐ分岐点、その入り組んだ道は複雑に絡み合って難解な迷路を形成しています。
地元の方でも、知らない道があり、迷うことも少なくはありません。
「この入り組んだ迷路みたいな街はまるで俺の人生…」と書きそうになりましたが、また「痛々しい」というご指摘がありそうなので止めておきます。

 

海岸近くの路地。絶妙な坂道。

 

 

 

ここまで読むとなんだか批判的にも見えますが、この静寂で迷路のような加太の街が僕は気に入っています。

 

 

 

迷路のようなこの街では歩くたびに新しい発見があります。むしろ発見せずして歩けないでしょう。
例えば今まで気付かなかった小道を見つけたり、全然違う道同士が繋がっていたり、へんてこな物を見つけたり、なんだか童心を取り戻したような気になります。

 

 

 

地元の中学校の近くの変電所らしい。絶妙な錆び加減。趣がある。

 

 

「KADA SCHOOL」なんとも言えないデザイン。
また、この街は僕らの感性を刺激します。

 

 

巷ではクリスマスムードで浮足だっていますが、この街にはイルミネーションなどという煌びやかなものはありません。もちろんクリスマスソングも流れず、この街はひたすら静寂を保っているのです。

 

そんな静けさは僕らの五感を研ぎ澄ませます。

 

微かに香る潮の匂い
風に揺られ地面を擦る枯葉の音
小学生の手作り案内看板
秘密の抜け道

今まで気にも留めなかったものに気付くようになります。

 

お気に入りの抜け道。

 

まるで加太の街はスルメのようです。噛めば噛むほど味が出てくるように、歩けば歩くほどいろんな発見をし、その面白さが分かるようになります。僕たちはこの時間ひたすらこのスルメを堪能しました。

よく田舎は何もないと言われますが、それは僕ら現代人があまりに怠惰なだけかもしれません。
和歌山で時間をつぶせるのはガーデンパーク(大型商業施設)だけではありません。
もっと感覚器官を研ぎ澄ませ、何かを見つけようと能動的になれば、新しい発見でお腹いっぱいになります。

路地を歩いていて、ふとそんなことを思いました。

ライタープロフィール

Naoto Oshita
Naoto Oshita
自意識がスパークしているしがない会社員です。